リンと腎機能の関係性について | リンを控えた食事療法 - DigiAtoまとめ

リンと腎機能の関係性について | リンを控えた食事療法

腎臓は体内の老廃物や余分な水分、ミネラルを尿として排泄する重要な臓器です。

腎機能が低下する慢性腎臓病(CKD)では、様々なミネラルのバランスが崩れやすくなりますが、特に注意が必要なのが「リン」です。

この記事では、腎臓病とリンの深い関係性、そしてリンをコントロールするための食事療法のポイントについて、詳しく解説します。

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腎臓とリンの関係:なぜリン管理が重要なのか?

健康な腎臓は、食事から摂取されたリンのうち、体内で不要になった分を尿中に排泄し、血液中のリン濃度を適切な範囲(正常値:2.5~4.5mg/dL程度)に保っています。

しかし、腎機能が低下すると、リンを十分に排泄できなくなり、血液中にリンが過剰に溜まった状態、すなわち高リン血症を引き起こしやすくなります。

高リン血症が引き起こすリスク

高リン血症は、自覚症状がないまま進行することが多いですが、放置すると以下のような深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常)

  • 血液中のリン濃度が上昇すると、カルシウム濃度が低下し、骨を溶かす働きのある副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が過剰になります。
  • これにより、骨がもろくなる線維性骨炎(骨が溶けて線維組織に置き換わる病態)や、骨以外の場所(血管壁など)にカルシウムとリンが沈着する異所性石灰化が起こりやすくなります。
  • 異所性石灰化は、血管の弾力性を失わせ、動脈硬化を進行させる大きな要因となります。

心血管疾患のリスク上昇

  • 血管の石灰化は、心筋梗塞や狭心症、脳卒中といった命に関わる心血管疾患の発症リスクを高めます。
  • 実際に、高リン血症はCKD患者さんの生命予後に悪影響を与えることが多くの研究で示されています。

腎機能低下の進行

  • 高リン血症自体が、腎機能のさらなる悪化を促進する可能性も指摘されています。

このように、リンの管理は、CKDの進行を抑制し、合併症を防ぎ、より良い生活を送る上で非常に重要です。

CKDステージ別:リン管理の目標値

リンの管理目標は、CKDの進行度(ステージ)によって異なります。

日本腎臓学会のガイドラインでは、血清リン濃度と食事からのリン摂取量について、以下の目標値が推奨されています。

CKDステージに応じた血清リン濃度と食事リン摂取量の目標

CKDステージ血清Cr値 または eGFR (mL/分/1.73m²)血清リン濃度目標 (mg/dL)食事リン摂取目標量 (mg/日)
G3aeGFR 45~59正常範囲 (2.5~4.5)(タンパク質摂取量(g/日) × 15)mg/日 以下
G3beGFR 30~44正常範囲 (2.5~4.5)(タンパク質摂取量(g/日) × 15)mg/日 以下
G4eGFR 15~29正常範囲 (2.5~4.5)(タンパク質摂取量(g/日) × 15)mg/日 以下
G5eGFR <15 (透析未導入)正常範囲 (2.5~4.5)(タンパク質摂取量(g/日) × 15)mg/日 以下
G5D透析導入後3.5~6.0(タンパク質摂取量(g/日) × 15)mg/日 を目安とする

出典:「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版

補足

  • eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓がどれだけ老廃物を排泄できるかを示す値です。
  • 食事からのリン摂取目標量は、タンパク質摂取量に応じて設定されます。これは、タンパク質を多く含む食品にはリンも多く含まれる傾向があるためです。
  • 透析患者さん(ステージG5D)では、透析によってある程度のリンを除去できますが、それでも食事管理は非常に重要であり、血清リン濃度の目標値が少し緩和されています。

リン制限の食事療法:具体的なポイント

高リン血症を防ぐためには、食事からのリン摂取量をコントロールすることが基本となります。

1. リンの種類を知る:有機リンと無機リン

食品に含まれるリンには、大きく分けて「有機リン」と「無機リン」の2種類があります。

  • 有機リン: 主にタンパク質と結合した形で存在し、肉、魚、卵、乳製品、豆類などの天然の食品に含まれます。消化・吸収される割合は約40~60%とされています。
  • 無機リン: 食品添加物として加工食品などに添加されるリンです。リン酸塩などの形で存在し、吸収されやすく、約90~100%が体内に吸収されると言われています。

ポイント:無機リン(食品添加物)の摂取を極力避けることが重要です。

2. リン含有量の多い食品を知る

リンは多くの食品に含まれていますが、特に注意が必要なのは以下の食品群です。

  • 特に注意が必要な食品(無機リンを多く含む可能性):
    • 加工食品: ハム、ソーセージ、練り物(かまぼこ、ちくわなど)、インスタント食品(カップ麺、レトルト食品)、冷凍食品
    • 乳製品: プロセスチーズ、牛乳、ヨーグルト
    • 嗜好飲料: コーラなどの一部の清涼飲料水
    • 菓子類: スナック菓子、洋菓子など
  • タンパク質源(有機リン):
    • 肉類(特にレバー)、魚介類(特に丸干し、しらす干し)、卵(特に卵黄)、大豆製品(納豆、豆腐など)
  • その他:
    • 玄米、種実類(ナッツ、ごまなど)

3. 食品表示を確認する習慣をつける

加工食品を購入する際は、原材料表示を確認し、「リン酸塩」や「pH調整剤」などの表示があるものは、無機リンが含まれている可能性が高いと考え、摂取を控えるようにしましょう。

  • リン酸塩: リン酸Na、リン酸K、ピロリン酸、ポリリン酸などと表示されます。保水性向上、結着性向上、変色防止などの目的で広く使われています。
  • pH調整剤: 一部にリン酸塩が使用されている場合があります。

栄養成分表示にリンの含有量が記載されていることは稀ですが、原材料表示の確認はリン管理の第一歩です。

4. リン/タンパク質比を意識する

タンパク質は体に必要な栄養素ですが、CKDでは過剰摂取を避ける必要があり、同時にリンの摂取も抑えなければなりません。そこで役立つのが「リン/タンパク質比」(食品中のリン含有量(mg) ÷ タンパク質含有量(g))という考え方です。

同じタンパク質量でも、この比率が低い食品を選ぶことで、効率的にリンの摂取を抑えることができます。

主な食品のリン含有量とリン/タンパク質比の目安

食品分類食品名100gあたり リン(mg)100gあたり タンパク質(g)リン/タンパク質比 (mg/g)備考
肉類豚レバー36020.417.6高リン・高タンパク
鶏むね肉 (皮なし)22023.39.4比較的低リン/タンパク質比
ウインナーソーセージ19711.517.1加工によりリン添加の可能性、比率も高い
魚介類しらす干し(半乾燥)86040.521.2高リン・高タンパク
まいわし (丸干し)66032.820.1高リン・高タンパク
まだら (生)24017.613.6白身魚は比較的リンが少ない傾向
はんぺん1209.912.1練り製品はリン添加の可能性あり
卵類鶏卵 (全卵)17012.213.9卵黄にリンが多い
乳製品プロセスチーズ73022.732.2非常に高いリン/タンパク質比、要注意
牛乳 (普通)933.328.2リン/タンパク質比が高い
大豆製品納豆19016.511.5比較的バランスが良い
加工食品カップ麺 (例)変動大変動大非常に高い場合あり添加物として無機リンが多く含まれることが多い
コーラ (例)約15mg/100ml0-添加物由来のリン

出典:「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版

この表からわかること

  • レバーや干物、プロセスチーズはリン/タンパク質比が非常に高い。
  • 同じタンパク質源でも、鶏むね肉やまだら、納豆などは比較的リン/タンパク質比が低い。
  • 加工食品は、原材料や製造方法によってリン含有量が大きく異なり、無機リン添加によりリン/タンパク質比が非常に高くなる場合があるため、特に注意が必要。

5. 調理法を工夫する

食材に含まれるリンは、調理法によって減らすことが可能です。

  • 茹でこぼし・水さらし: 食材を茹でたり、水にさらしたりすることで、水溶性のリンの一部が溶け出します。特に、細かく切ってから行うと効果的です。
  • 煮込み料理: 煮汁にリンが溶け出すため、煮汁の摂取は控えめにしましょう。

 

調理によるリン除去率の目安

調理法リン除去率 (%)
茹でる20~50%
水さらし10~30%
電子レンジ調理除去効果は低い

出典:「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版

ポイント

野菜や肉、魚などを調理する際は、茹でこぼしを活用するとリンの摂取量を抑えられます。ただし、カリウム制限も必要な場合は、茹でこぼしによりカリウムも除去される点を考慮する必要があります。

食事療法で管理が難しい場合は「リン吸着薬」も

食事療法を最大限に行っても、血清リン濃度が目標値まで下がらない場合には、「リン吸着薬」が処方されることがあります。

リン吸着薬は、腸管内で食物中のリンと結合し、体内に吸収されるのを防ぐ薬です。

  • 種類: カルシウムを含むタイプ(炭酸カルシウムなど)と、含まないタイプ(セベラマー塩酸塩、ビキサロマー、炭酸ランタン、クエン酸第二鉄水和物など)があります。患者さんの状態(血清カルシウム値など)に合わせて選択されます。
  • 服用タイミング: 食事中のリンを効率よく吸着させるため、食直前や食直後など、食事に合わせて服用することが重要です。必ず医師の指示に従って服用してください。
  • 注意点: リン吸着薬は、あくまで食事療法の補助的な役割です。薬を飲んでいるからといって、食事制限を怠って良いわけではありません。また、自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは絶対に避けてください。便秘や腹部膨満感などの副作用が現れる場合もありますので、気になる症状があれば医師や薬剤師に相談しましょう。

まとめ

腎臓病(CKD)において、リンの管理は生命予後にも関わる非常に重要な課題です。高リン血症は自覚症状がないまま進行し、骨や血管に深刻なダメージを与える可能性があります。

リンの管理は、まず食事療法が基本となります。

  • 無機リン(食品添加物)を多く含む加工食品を避ける
  • リン/タンパク質比を意識して食品を選ぶ
  • 茹でこぼしなどの調理法を工夫する

これらのポイントを実践することが大切です。

しかし、リンの制限はタンパク質や他のミネラル(カルシウム、カリウムなど)の摂取量とも密接に関連しており、自己流の判断で行うのは危険です。必ず医師や管理栄養士の指導のもと、ご自身の病状やライフスタイルに合った適切な方法で進めるようにしましょう。

食事療法だけでコントロールが難しい場合には、リン吸着薬が処方されることもあります。医師の指示に従い、正しく服用することが重要です。

リンの管理は、腎臓病と長く付き合っていく上で欠かせない取り組みです。正しい知識を身につけ、専門家と相談しながら、根気強く続けていきましょう。

 

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