
腎臓は体内のミネラルバランスを調整する重要な役割を担っています。
中でもカリウムは、体液の浸透圧調整や神経・筋肉の機能維持に不可欠なミネラルですが、腎機能が低下すると体外への排泄が滞り、血液中のカリウム濃度が上昇する「高カリウム血症」を引き起こす可能性があります。
この記事では、腎臓病(特に慢性腎臓病、CKD)におけるカリウム管理の重要性と、カリウム摂取量をコントロールするための食事療法について、詳しく解説します。
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健康な腎臓は、体内のカリウム量を常に適切な範囲に保つよう働いています。食事から摂取したカリウムのうち、余分なものは主に尿として体外へ排泄されます。
しかし、慢性腎臓病(CKD)などによって腎機能が低下すると、このカリウム排泄能力が衰えてしまいます。その結果、体内にカリウムが蓄積しやすくなり、血液中のカリウム濃度が異常に高くなる「高カリウム血症」を招くリスクが高まります。
高カリウム血症は、初期段階では自覚症状がないことも多いですが、進行すると以下のような症状が現れることがあります。
特に、不整脈は命に関わる危険な状態を引き起こす可能性があるため、腎機能が低下している場合は、血清カリウム値を定期的にチェックし、適切な管理を行うことが非常に重要です。
慢性腎臓病(CKD)の進行度(ステージ)によって、推奨されるカリウムの摂取目標量は異なります。日本腎臓学会の「CKD食事療法基準 2014年版」では、以下のように示されています。
表1:CKDステージ別 カリウム摂取目標量
| CKDステージ | GFR区分 (mL/分/1.73m²) | カリウム摂取目標量 (mg/日) | 備考 |
|---|---|---|---|
| G1 | ≧90 | 制限なし | |
| G2 | 60~89 | 制限なし | |
| G3a | 45~59 | 制限なし | 高カリウム血症を認める場合は制限を考慮 |
| G3b | 30~44 | 2,000未満 | 血清カリウム値に応じて調整。高カリウム血症があれば制限が必要 |
| G4 | 15~29 | 1,500未満 | 原則として制限が必要。血清カリウム値、尿量などを考慮して個別化が必要 |
| G5 | <15 | 1,500未満 | 原則として制限が必要。血清カリウム値、尿量などを考慮して個別化が必要 |
| 透析期 (HD/PD) | ー | 2,000未満 | 透析条件、残存腎機能、血清カリウム値、食事摂取量などを考慮して調整 |
カリウムは多くの食品に含まれていますが、特に以下の食品群に多く含まれる傾向があります。カリウム制限が必要な場合は、これらの食品の摂取量や調理法に注意が必要です。
表2:カリウムを比較的多く含む食品群の例
| 食品群 | 具体的な食品例 |
|---|---|
| 野菜類 | ほうれん草、かぼちゃ、たけのこ、枝豆、切り干し大根、パセリ、春菊、ニラ、モロヘイヤ など |
| いも類 | さつまいも、じゃがいも、里いも、長いも、こんにゃく など |
| 果物類 | バナナ、メロン、キウイフルーツ、アボカド、ドライフルーツ(干しぶどう、プルーン等) など |
| 豆類・種実類 | 大豆、あずき、納豆、きな粉、アーモンド、ピーナッツ など |
| 海藻類 | ひじき、わかめ(乾燥)、昆布 など |
| その他 | チョコレート、ココア、インスタントコーヒー、豆乳、牛乳、肉・魚介類(特に内臓や干物)など |
注意:上記は一般的な例です。食品の種類や調理法によってカリウム含有量は異なります。
「カリウム 腎臓病」で情報を探している方にとって、具体的にどの食品に注意すべきかを知ることは非常に重要です。ただし、これらの食品を完全に排除する必要はありません。量を調整したり、後述する調理法を活用したりすることで、上手に付き合っていくことが可能です。
カリウムは水に溶けやすい性質を持っています。この性質を利用して、調理法を工夫することで食品中のカリウム量を減らすことができます。
細かく切ってから茹でると、よりカリウムが溶け出しやすくなります。
これらの下処理を行うことで、食品中のカリウム量を30%~50%程度減らすことができると言われています。ただし、水溶性のビタミン(ビタミンB群、ビタミンCなど)も一緒に失われやすい点には注意が必要です。
外食や市販の惣菜、加工食品は、調理過程でどの程度カリウムが調整されているか分かりにくい場合があります。
腎機能が低下している場合、カリウムの管理は健康維持のために非常に重要です。高カリウム血症は重篤な不整脈を引き起こすリスクがあるため、CKDのステージや血清カリウム値に応じて、適切なカリウム摂取量を守る必要があります。
カリウムを多く含む食品を知り、「水さらし」や「茹でこぼし」といった調理の工夫を取り入れることで、食事の選択肢を保ちながらカリウム摂取量をコントロールすることが可能です。
ただし、カリウム制限の程度や方法は、個々の患者さんの状態によって異なります。必ず医師や管理栄養士に相談し、指導を受けながら、ご自身に合った食事療法を継続していくことが大切です。適切な食事管理を通じて、腎臓への負担を軽減し、より良い状態を維持することを目指しましょう。