透析施設を探す | エリア・施設種別から探す 

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透析治療は定期的な通院が必要な治療のため、ご自宅からアクセスしやすい医療機関を見つけることが何より大切です。各施設の基本情報、設備、診療時間、アクセス方法に加え、夜間・土曜透析や送迎サービスの有無などの情報を確認して、自分にあった、病院・クリニックを見つけましょう。

透析病院・クリニックの選び方

透析治療を受けられる医療機関には、大学病院、一般総合病院、そしてクリニック(診療所)といった種類があり、それぞれに異なる役割と特徴があります。施設選びの第一歩は、これらの大きな枠組みを理解し、ご自身の現在の状況や将来の展望に合ったタイプはどれか、大まかな方向性を掴むことです。まずは全体像を把握し、ミスマッチを防ぎましょう。

ライフステージから考える

透析治療との付き合いは長期間にわたります。その時々の健康状態やライフステージによって、最適な施設の形は変わっていく可能性があります。ここでは、状況に応じた賢い使い分けの考え方をご紹介します。

透析導入期 | まずは大学病院・総合病院で万全のスタートを


透析を初めて導入する時期は、身体にとって大きな変化の時です。この段階では、単に透析を開始するだけでなく、なぜ腎不全に至ったのかという原因の精査、心臓や血管など全身の状態の正確な評価、隠れた合併症リスクの洗い出し、そして患者さん一人ひとりに最適な透析条件(時間、回数、ダイアライザーの種類など)を設定することが極めて重要になります。


そのため、各分野の専門医が揃い、高度な検査設備を持つ大学病院や総合病院で導入を行うのが一般的です。ここで万全の体制のもとで治療の土台を築き、病状が安定した段階で、通院しやすいクリニックへ転院するというのが、非常に合理的で安心な選択肢と言えるでしょう。

安定期(維持透析) | 通いやすいクリニックを「主治医」に


透析治療が生活の一部となり、病状が安定してくると、最も重要になるのが「継続性」です。週3回の通院負担をいかに軽減し、生活の質を維持するかが大きな課題となります。この時期の主役となるのが、アクセスの良い透析専門クリニックです。


自宅や職場から近い、送迎サービスが充実しているなど、通いやすさを最優先に選ぶことで、治療と生活の両立が格段にしやすくなります。クリニックを日々の透析を行う「かかりつけ医」としつつ、年に一度は導入元の総合病院で心臓の精密検査を受けるなど、規模の異なる施設を賢く連携させて利用することで、日常の利便性と専門的な健康管理を両立させることが可能です。

合併症併発時 | 総合病院の総合力を活用


透析歴が長くなると、心臓病や感染症、骨関節の疾患など、様々な合併症が起こりやすくなります。透析以外の専門的な治療や手術が必要になったとき、その真価を発揮するのが総合病院です。


例えば、心臓カテーテル治療が必要になった場合や、肺炎で入院が必要になった場合でも、総合病院であれば透析を継続しながら、同じ院内で専門的な治療を受けることができます。施設を移動する身体的・精神的負担がなく、各科の医師が連携して治療にあたってくれる「ワンストップ」の医療体制は、何物にも代えがたい安心感につながります。




施設種別の特徴と比較 | 大学病院・総合病院・クリニックの違い

医療機関の種別によって、提供される医療の専門性、対応可能な範囲、そして施設の雰囲気に大きな違いがあります。以下の表は、それぞれの特徴を比較したものです。ご自身の状況と照らし合わせながら、どのタイプが最も合っているかを考えてみましょう。

施設種別主な役割と特徴メリットデメリットこんな方におすすめ
大学病院医学部の附属施設として、高度医療、最先端の研究、医師の教育を担います。重篤な合併症を持つ患者さんや、治療が難しい症例、腎移植などを中心に扱います。・最新・最先端の治療を受けられる可能性がある
・各分野の専門医が揃い、多角的な視点での治療が期待できる
・腎移植を検討する場合、院内でスムーズに連携できる
・待ち時間が非常に長い傾向がある
・原則として紹介状が必須
・教育機関でもあるため、担当医が変更になることがある
・これから透析を始める「導入期」で、総合的な評価が必要な方
・重い心臓病など、複数の重篤な合併症を抱えている方
・将来的に腎移植を具体的に検討している方
一般総合病院地域医療の中核を担い、内科や外科、救急など複数の診療科を備えています。入院設備も完備しており、透析以外の病気もまとめて管理しやすいのが特徴です。・透析以外の病気(糖尿病、心疾患など)も同じ病院で診てもらえる
・シャントトラブルや急な体調不良時に、即入院できる安心感
・CTやMRIなど、高度な検査設備が院内に整っている
・透析治療の専門性では、特化型クリニックに劣る場合がある
・外来患者が多く、予約が取りにくかったり、待ち時間が長くなることがある
・糖尿病や心疾患など、透析と並行して専門的な管理が必要な持病がある方
・体調が不安定で、入院の可能性を常に考慮しておきたい方
・シャントトラブルを繰り返しており、迅速な対応を求める方
クリニック(診療所)外来での維持透析に特化した施設です。入院用のベッドがないか、19床未満の小規模な施設が多く、通院の利便性が高く、地域に密着した医療を提供します。・自宅や職場から通いやすい立地にあることが多い
・透析に特化した専門スタッフによる、きめ細やかで手厚いケアを受けやすい
・アットホームな雰囲気で、医師やスタッフに相談しやすい
・待ち時間が比較的短い傾向がある
・入院設備がない、または少ないため、入院が必要な場合は連携病院へ紹介となる
・重篤な合併症や専門的な検査は院内で対応できない
・対応できる診療科が腎臓内科や内科などに限られる
・病状が安定している「維持透析期」の方
・仕事や家庭の都合上、通院の負担をできるだけ減らしたい方
・スタッフと密なコミュニケーションを取りながら、安心して治療を受けたい方

エリアから大学病院を選ぶ

透析患者を支える主要な診療科とその役割

透析治療は長いお付き合いになります。
ご自身の体の状態や生活スタイルに合わせて、最適な病院を選びましょう。



腎臓内科

透析条件の決定、日常的な体調管理、貧血やミネラルバランスの調整など、透析患者さんの全身を管理する中心的な存在です。合併症の予防や早期発見にも努めます。

循環器内科

透析患者さんにとって最も注意すべき合併症の一つが、心不全や狭心症、心筋梗塞といった心血管疾患です。循環器内科は、心エコー検査などで定期的に心臓の状態を評価し、専門的な治療を行います。

血管外科(または泌尿器科・形成外科)

透析治療の「生命線」ともいえるバスキュラーアクセス(シャントなど)の作成や、狭窄・閉塞といったトラブルに対する修復(PTA:経皮的血管形成術など)を行う専門家です。シャントの状態を定期的にチェックし、トラブルを未然に防ぐ役割も担います。

内分泌・糖尿病内科

透析導入の最大の原因疾患である糖尿病の管理は非常に重要です。血糖コントロールを専門的に行い、網膜症や神経障害といった他の糖尿病合併症の進行を防ぎます。また、透析患者さんに多い骨代謝異常(二次性副甲状腺機能亢進症)の治療も担当します。

整形外科

透析歴が長くなると、透析アミロイドーシスという物質が骨や関節に沈着し、手根管症候群(手のしびれ)や関節痛を引き起こすことがあります。整形外科では、これらの症状の診断、治療、場合によっては手術を行います。

栄養科

透析患者さんにとって食事管理は治療の根幹をなすものです。管理栄養士が、カリウム、リン、塩分、水分などの制限について、個々の患者さんの状態に合わせた専門的な指導を行います。

目的・状況まず相談すべき診療科連携する可能性のある診療科チェックポイント・選択理由
定期的な維持透析透析専門施設 / 腎臓内科-日々の通院の利便性と、透析に特化したケアの専門性を重視します。かかりつけ医としての役割を担います。
シャントの音が弱い、腫れている、痛い血管外科 / 泌尿器科腎臓内科シャントPTA(血管内治療)や再建手術の実績が豊富か、緊急時の対応が迅速かを確認します。
少し動くと息が切れる、足がむくむ、胸が痛い循環器内科腎臓内科心不全や虚血性心疾患の可能性があります。心エコーや心電図などの検査設備が整い、専門的な管理が可能かどうかが重要です。
血糖コントロールがうまくいかない内分泌・糖尿病内科腎臓内科、眼科透析患者さん特有の血糖変動に対応できる糖尿病専門医が在籍しているか、インスリン調整などをきめ細かく行えるかがポイントです。
手足のしびれ、関節が痛む整形外科 / 腎臓内科-透析アミロイドーシスや骨粗鬆症の可能性があります。透析患者の骨関節症に対する診断・治療経験が豊富かを確認します。
現在の治療法に疑問がある、他の意見も聞きたい大学病院の腎臓内科-セカンドオピニオンを求める場合、より専門性の高い施設で、多角的な視点から現在の治療方針を評価してもらうことが有効です。

情報収集方法とチェックポイント

情報収集と比較検討

情報を収取し、施設をリストアップ。通院可能な範囲(自宅からの距離、交通手段、所要時間)を考慮し、候補となる施設を5〜10箇所ほどリストアップします。そして、ウェブサイトの情報をもとに、「夜間透析の有無」「送迎サービスの範囲」「専門医の在籍」など、自分にとって譲れない条件で絞り込み、見学を申し込む施設を絞り込む。

公式ウェブサイト

各施設の理念、診療時間、設備、スタッフ紹介など、基本的な情報。

地域の透析施設ポータルサイト

複数の施設を一覧で比較でき、口コミなどが掲載されている場合もあります。

医療ソーシャルワーカー(MSW)

現在入院中、あるいは通院中の病院にいるMSWは、地域の医療情報に精通した専門家です。客観的な視点から、患者さんの状況に合った施設をいくつか紹介してくれます。

施設見学

百聞は一見に如かず。実際にその場に足を運び、自分の目で見て、肌で感じることで、パンフレットやウェブサイトだけでは決してわからない多くの情報を得ることができます。必ず事前に電話で予約を取り、できれば複数の施設を見学して比較検討することをおすすめします。

通院・時間について確認する

「送迎サービスをお願いする場合、自宅のこの辺りまで来ていただくことは可能ですか?」

「夜間透析を希望しますが、仕事の都合で開始時間が30分ほど遅れてしまう日がありそうです。対応は可能でしょうか?」

「旅行や出張の際、臨時透析を受ける他院の紹介はしていただけますか?」

医療・緊急時対応について確認する例

「シャントの調子が悪くなった場合、こちらの施設でPTA(血管拡張術)は受けられますか?それとも連携病院への紹介になりますか?」

「心臓に持病があるのですが、循環器の専門医の先生に定期的に診ていただくことは可能ですか?」

環境・スタッフについて確認する

「透析中の時間を有効に使いたいのですが、Wi-Fiは無料で利用できますか?」

「管理栄養士の方に、食事について個別に相談できる機会はありますか?」

相談と意思決定

見学で得た情報や感想を整理し、ご家族や、現在の主治医、医療ソーシャルワーカーなど、信頼できる人に相談しましょう。客観的な意見を聞くことで、自分では気づかなかった視点や、見落としていたポイントが見えてくることがあります。

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透析治療は患者様一人ひとりの病状や体調により適切な治療法が異なります。本サイトの情報は一般的な参考情報として提供するものであり、個別の治療方針や医学的判断の代替となるものではありません。
透析に関するご不明な点や体調の変化、治療内容については、必ずかかりつけの医師や透析施設の医療スタッフにご相談ください。
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