
人工透析とは?腎臓の働き 透析の種類 開始のタイミング
腎臓の重要な働き
腎臓は、腰のあたりに左右一対ある、そら豆のような形をした臓器です。その重さは一つあたり約150gと小さいながらも、体内の環境を常に一定に保つ「恒常性(ホメオスタシス)」の維持に中心的な役割を担っています。もし腎臓が機能しなくなると、私たちの体はたちまちバランスを崩してしまいます。
腎臓の主な働き
腎臓の主な働きは、以下の通りです。
老廃物の排泄と尿の生成
体の「浄水フィルター」として、血液をろ過し、体内で作られた老廃物(尿素、クレアチニンなど)や不要な物質を尿として体外に排泄します。この機能が低下すると、毒素が体内に蓄積し「尿毒症」を引き起こします。
体液・電解質のバランス調整
体内の水分量や、ナトリウム、カリウム、リン、カルシウムといった電解質(ミネラル)の濃度を精密に調整しています。このバランスが崩れると、むくみ(浮腫)や高血圧、不整脈などの原因となります。
血圧のコントロール
レニンというホルモンを分泌し、血圧を調整するシステムに関与しています。腎機能が低下すると、この調整がうまくいかなくなり、高血圧になりやすくなります。
骨を丈夫にする
食事から摂取したビタミンDを、体内で利用できる「活性型ビタミンD」に変える働きがあります。活性型ビタミンDは、腸からのカルシウム吸収を助け、骨を丈夫に保つために不可欠です。
血液を作る指令を出す
赤血球の産生を促す「エリスロポエチン」というホルモンを分泌しています。腎機能が低下するとこのホルモンが不足し、赤血球が作られにくくなるため「腎性貧血」という状態になります。
腎臓は、わたしたちのからだを正常に保つために、とても重要な臓器です。

透析療法を導検討するタイミング
CKDが進行し、ステージG5(末期腎不全)になると、自身の腎臓だけでは生命を維持することが困難になります。この段階で、腎臓の働きを代替する治療、すなわち「腎代替療法(透析療法または腎移植)」の導入が検討されます。
実際、いつ透析療法を導入する?
医学的な基準としては、eGFRが15mL/分/1.73m²未満になった時点が一つの目安とされます。しかし、実際の導入タイミングは、この数値だけで機械的に決まるわけではありません。年齢や原因疾患、そして何よりも「尿毒症」の症状の有無や程度を総合的に評価して、医師と患者、家族が話し合って決定します。
特に注意が必要なのは、以下のような尿毒症のサインです。これらの症状が強く現れ始めたら、透析導入が目前に迫っていると考えられます。
身体的なサイン
・全身のむくみ、胸水・腹水(体に水分が溜まる)
・呼吸困難(心不全や肺水腫による)
・食欲不振、吐き気、下痢などの消化器症状
・薬でコントロールできない重度の高血圧
神経系のサイン
・頭痛、けいれん、意識障害(重篤な場合)
・手足のしびれ、むずむず感、灼熱感
その他のサイン
・貧血による強い倦怠感、出血しやすい
・皮膚のかゆみ
・視力障害
腎機能が低下するとは?
何らかの原因で腎臓の働きが慢性的に低下した状態を「慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)」と呼びます。CKDは初期段階では自覚症状がほとんどなく、静かに進行していくため「沈黙の臓器」とも言われます。腎機能の低下の程度を客観的に示す指標が「eGFR(推算糸球体ろ過量)」です。これは、腎臓が1分間にどれくらいの血液をろ過して尿を作れるかを示す数値で、健康な人では90以上あります。このeGFRの値によって、CKDは以下のステージに分類されます。
G1 | G2 | G3a | G3b | G4 | G5 | |
---|---|---|---|---|---|---|
eGFR値* | 90以上 | 89~60 | 59~45 | 44~30 | 29~15 | 15未満 |
腎臓の
はたらきの
程度
| 正常 | 軽度低下 |
軽度〜
中等度低下
|
中等度〜
高度低下
| 高度低下 | 末期腎不全 |
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治療の目安 |
生活改善
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食事療法
薬物療法
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透析・移植について考える
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透析・移植の準備
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血液透析と腹膜透析、どちらを選ぶ?
腎代替療法が必要となったとき、多くの患者が直面するのが「血液透析(HD)」と「腹膜透析(PD)」という2つの治療法からの選択です。この選択は、その後の生活スタイルを大きく左右するため、非常に重要です。どちらかが絶対的に優れているというわけではなく、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、ご自身のライフスタイルや価値観、身体の状態と照らし合わせて、最も合った方法を選ぶことが求められます。
血液透析は、日本で透析を受けている患者の約97%が選択している、最も一般的な治療法です。
血液を一度体の外に取り出し、機械を使って浄化してから体内に戻すという方法で、主に病院やクリニックなどの医療機関で行われます。
腹膜透析は、自分自身の体の中にある「腹膜」をフィルターとして利用する透析方法です。
腹膜とは、胃や腸などの内臓を覆っている薄い膜のことで、その表面には毛細血管が網の目のように張り巡らされています。この腹膜を利用することで、自宅や職場など、場所を選ばずに透析を行うことができます。
血液透析(HD)のしくみ
血液透析は、日本で透析を受けている患者の約97%が選択している、最も一般的な治療法です。 血液を一度体の外に取り出し、機械を使って浄化してから体内に戻すという方法で、主に病院やクリニックなどの医療機関で行われます。
血液透析の仕組み
血液透析のプロセスは、体内の血液をポンプで体外の「ダイアライザー(人工腎臓)」と呼ばれる装置に送り込むことから始まります。ダイアライザーは、無数の微細な孔が開いた半透膜でできたストロー状の細い管の束で構成されています。この管の中を血液が通り、その外側を透析液が流れることで、浸透と拡散の原理に基づき、血液中の老廃物や余分な水分、電解質が透析液側に移動します。こうしてきれいになった血液は、再び体内に戻されます。

バスキュラーアクセス(シャント)とは
血液透析では、1分間に約200mlという大量の血液を効率よく体外に取り出す必要があります。しかし、通常の静脈では血流が足りず、動脈は体の深い部分にあるため、毎回の穿刺(針を刺すこと)には適していません。そこで、透析を始める前に、腕の血管に簡単な手術を行い、血液の出入り口となる「バスキュラーアクセス」を作成します。

最も一般的なのが「内シャント」です。これは、手首近くの皮膚の下で動脈と静脈を直接つなぎ合わせる手術です。これにより、圧力の高い動脈血が静脈に流れ込み、静脈が太く発達します。この太くなった静脈に針を刺すことで、安定して十分な血液量を確保できるようになります。シャントは透析患者にとって「生命線」とも言える非常に大切なものであり、長持ちさせるための日々の管理が重要になります。
腹膜透析(PD)のしくみ
腹膜透析は、自分自身の体の中にある「腹膜」をフィルターとして利用する透析方法です。腹膜とは、胃や腸などの内臓を覆っている薄い膜のことで、その表面には毛細血管が網の目のように張り巡らされています。この腹膜を利用することで、自宅や職場など、場所を選ばずに透析を行うことができます。
腹膜透析の仕組み
腹膜透析を始めるには、まずお腹に「カテーテル」と呼ばれる直径5〜6mmほどの柔らかいチューブを埋め込む手術が必要です。 このカテーテルを通して、ブドウ糖などを含んだ透析液をお腹の中(腹腔)に注入し、一定時間溜めておきます。すると、腹膜を介して、血液中の老廃物や余分な水分が、濃度の高い透析液側に引き寄せられます。時間が経ち、老廃物を含んだ透析液を体外に排出し、新しい透析液を再び注入する、というサイクルを繰り返すことで血液を浄化します。

腹膜透析 透析液の交換方法
腹膜透析には、主に2つの方法があります。
CAPD(連続携行式腹膜透析)
日中、患者自身が1日に3〜4回、透析液のバッグ交換を行います。1回の交換にかかる時間は約30分です。生活リズムに合わせて交換時間を調整できるため、日中の活動の自由度が高いのが特徴です。
APD(自動腹膜透析)
就寝中に、「サイクラー」という専用の機械が自動的に透析液の交換を行ってくれる方法です。夜寝ている間に透析が完了するため、日中の時間を透析に縛られることなく、自由に使うことができます。
血液透析と腹膜透析の比較

血液透析と腹膜透析は、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットを持っています。
どちらの治療法が最適かは、患者さんの年齢、身体の状態、生活習慣、仕事の状況、そしてご家族のサポート体制など、様々な要因を考慮して決定されます。
以下に、両者の主な違いをまとめました。
項目 | 血液透析(HD) | 腹膜透析(PD) |
---|---|---|
治療場所 | 病院や透析クリニック | 自宅、職場など |
治療頻度 | 週2〜3回 | 毎日(CAPDは1日3〜4回、APDは夜間1回) |
1回あたりの治療時間 | 4〜5時間 | CAPDは液交換に30分程度、APDは就寝中 |
通院頻度 | 週2〜3回 | 月1〜2回 |
体への負担 | 比較的大きい(急激な変化) | 比較的少ない(緩やかな変化) |
自己管理 | 少ない | 多い(液交換、カテーテル管理) |
食事・水分制限 | 比較的厳しい | 比較的緩やか |
シャント/カテーテル | 内シャントなど(腕) | 腹膜透析カテーテル(腹部) |
主な合併症 | 低血圧、不均衡症候群、心血管系合併症、シャントトラブルなど | 腹膜炎、カテーテル関連感染症、被嚢性腹膜硬化症など |
ライフスタイルへの影響 | 時間的制約が大きい | 比較的柔軟に対応可能 |
旅行 | 事前手配が必要 | 透析液の配送手配で可能 |
仕事 | 調整が必要な場合が多い | 比較的継続しやすい |
この比較表は、あくまで一般的な傾向を示すものです。個々の患者さんの状態や生活環境によって、適した治療法は異なります。
医師や医療スタッフと十分に相談し、ご自身にとって最適な治療法を選択することが大切です。
人工透析とは

人工透析とは、腎臓の機能が著しく低下した「腎不全」の状態になった際に、本来の腎臓の働きの代わりを人工的に行う治療法です。
単に「透析」とも呼ばれます。
腎臓は、血液をろ過して体内の老廃物や余分な水分、塩分を尿として排泄し、電解質のバランスを整えるなど、生命維持に不可欠な役割を担っています。
しかし、腎不全になるとこれらの機能が果たせなくなり、体内に毒素が溜まる「尿毒症」や、心臓への過剰な負担、電解質の異常などを引き起こし、命に関わる状態となります。
人工透析は、このような状態を防ぎ、体内の環境を正常に近い状態に保つために行われます。
透析開始のタイミングについて
腎臓の働き」は eGFR という数値で示され、健康な人を100とすると30くらいまで下がった段階で「そろそろ透析のことを考え始めましょう」と医師から説明を受けるのが一般的です。
eGFRとは採血で分かる腎臓のろ過能力の目安で、数字が小さいほど腎臓が弱っています。
これを覚えやすくしたのが「30・20・10ルール」です。
eGFR が 30 になったら情報収集と生活改善、20 になったら腕にシャント(透析用の血管)を作ったり腹膜透析の準備を始め、10 以下あるいは強いむくみ・吐き気・息切れなどの症状が出たら実際に透析を開始します。
腎臓の働きのめやす | すること |
---|---|
eGFR ≈30(約3割) | 透析について聞く、食事・塩分管理を強化 |
eGFR ≈20(約2割) | 血管アクセスや治療法を選び、準備を始める |
eGFR ≈10(約1割) または症状あり | 安全に透析を始める |
症状が出る前から計画的に準備しておくと、緊急入院や慌ただしい導入を避けられ、体への負担も少なくすみます。
また、透析を遅らせる薬や食事療法も並行して行われるので、焦らずステップを踏むことが大切です。
どの時点で透析を始めるかは、年齢や合併症、仕事や家庭環境などを含めた総合的な判断なので、不安があれば遠慮なく医師や看護師、腎臓病療養指導士に相談してください。
人工透析の治療の流れ

人工透析は、腎臓の機能を代替する治療であり、そのプロセスは患者さんの日常生活に深く関わってきます。
治療の具体的な流れを理解し、それに伴う生活の変化に適応していくことは、透析治療を継続する上で非常に重要です。
このセクションでは、血液透析と腹膜透析それぞれの具体的な治療プロセス、そして透析患者さんがより良い生活を送るための食事管理、水分管理、運動、仕事との両立、精神的なサポートなどについて詳しく解説します。
血液透析の具体的な流れ
血液透析は、週に数回、医療機関で行われる治療です。
患者さんは透析施設を訪れ、準備から治療、そして治療後のケアまで、一連のプロセスを経て透析を受けます。
この流れを理解することは、治療に対する不安を軽減し、スムーズに透析を受けるために役立ちます。
血液透析の治療は、まず患者さんの体重測定、血圧測定、体温測定などのバイタルチェックから始まります。
これは、その日の体調や水分貯留の状態を把握するために不可欠です。
その後、透析ベッドに移動し、ブラッドアクセス(内シャントなど)に2本の針を刺します。
1本は血液を体外に取り出すための動脈側、もう1本はきれいになった血液を体内に戻すための静脈側です。
針を刺す際には、痛みを伴うことがありますが、多くの施設では麻酔クリームの使用や、痛みを和らげる工夫がされています。
針が刺されたら、血液は透析装置へと送られます。透析装置は、ポンプで血液をダイアライザー(人工腎臓)に送り込み、ダイアライザー内で血液中の老廃物や余分な水分が除去されます。
この間、患者さんはベッドに横になり、テレビを見たり、本を読んだり、眠ったりして過ごします。
治療時間は通常4〜5時間ですが、患者さんの状態や透析量によって調整されます。治療中は、看護師が定期的に血圧や体調を確認し、異常がないか注意深く観察します。
治療が終了すると、針を抜いて止血を行います。
止血には通常10〜15分程度かかります。
止血が確認されたら、再び体重測定や血圧測定を行い、治療前後の変化を確認します。
その後、着替えて帰宅となります。透析後は、疲労感やだるさを感じることがありますが、これは透析によって体内の水分や電解質のバランスが急激に変化するためです。十分な休息をとることが大切です。
シャントについて
血液透析を安全かつ効率的に行うためには、大量の血液を安定して取り出し、戻すことができる血管の確保が不可欠です。
このために作られるのが「シャント」です。最も一般的なのは「内シャント」と呼ばれるもので、患者さん自身の腕の動脈と静脈を手術でつなぎ合わせ、静脈を太く発達させることで、透析に必要な血流量を確保します。
内シャントは、通常、利き腕ではない方の腕に作られます。
シャントは、透析患者さんにとって「命の道」とも言われるほど重要なものです。
シャントが閉塞したり、感染を起こしたりすると、透析治療を継続することが困難になります。
そのため、シャントの管理は日常生活において非常に重要です。
シャントのある腕では、重いものを持たない、血圧測定や採血をしない、きつい衣服やアクセサリーを避けるなど、シャントを保護するための注意が必要です。
また、毎日シャントの音(スリル)や振動(ブルブル感)を確認し、異常がないかをチェックすることも大切です。
異常を感じた場合は、すぐに医療機関に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。
内シャントの作成が難しい場合や、緊急で透析が必要な場合には、人工血管を用いたシャントや、一時的に首や足の付け根の太い血管にカテーテルを挿入する方法がとられることもあります。
これらのアクセス方法についても、それぞれに特徴と管理上の注意点がありますので、医療スタッフから十分な説明を受け、理解しておくことが重要です。
透析中の過ごし方
透析中の4〜5時間は、患者さんにとって決して短い時間ではありません。
この時間をどのように過ごすかは、治療の負担を軽減し、精神的な安定を保つ上で大切な要素となります。
多くの透析施設では、患者さんが快適に過ごせるよう、テレビやWi-Fi環境が整備されています。
患者さんは、テレビ番組を見たり、スマートフォンやタブレットでインターネットを利用したり、読書をしたり、音楽を聴いたり、あるいはただ静かに休んだりして過ごすことができます。
透析中に体調の変化を感じた場合は、我慢せずにすぐに看護師に伝えることが重要です。
血圧の低下、吐き気、頭痛、足のつり(こむら返り)などは、透析中によく見られる症状です。
これらの症状は、透析の条件を調整したり、薬を使用したりすることで緩和できる場合があります。
また、透析中に医療スタッフとコミュニケーションをとることで、日頃の体調の変化や不安なことなどを相談する良い機会にもなります。
透析は、医療スタッフと患者さんが協力して行うチーム医療です。
積極的に自分の状態を伝え、疑問を解消していくことが、より良い透析治療につながります。
腹膜透析の具体的な流れ
腹膜透析は、自宅や職場など、患者さんの生活環境の中で行われる治療です。
そのため、患者さん自身やご家族による自己管理が非常に重要になります。
腹膜透析の具体的な流れを理解し、清潔操作を徹底することで、合併症のリスクを減らし、安全に治療を継続することができます。
腹膜透析の治療は、まず腹部に埋め込まれたカテーテルを通して、透析液を腹腔内に注入することから始まります。
この透析液は、体内の老廃物や余分な水分を腹膜を介して引き出す役割をします。
透析液の注入には通常10〜20分程度かかります。注入後、透析液は数時間から十数時間、腹腔内に貯留されます。
この貯留時間中に、血液中の老廃物や水分が腹膜を通して透析液へと移動します。
貯留時間は、患者さんの状態や透析の目的によって医師が決定します。
貯留時間が終了したら、老廃物を含んだ透析液をカテーテルを通して体外に排出します。
排出には通常20〜30分程度かかります。排出された透析液は、廃棄バッグに集められます。
この注入から貯留、排出までの一連の作業を「液交換」と呼びます。
液交換は、清潔な環境で行うことが非常に重要であり、感染症を防ぐための厳重な手洗いと消毒が求められます。
CAPDとAPD
腹膜透析には、大きく分けてCAPD(連続携行式腹膜透析)とAPD(自動腹膜透析)の2つの方法があります。
CAPD(連続携行式腹膜透析)は、患者さん自身が手動で液交換を行う方法です。
通常、1日に3〜4回、日中の活動時間中に液交換を行います。
例えば、朝、昼、夕方、就寝前といった具合に、患者さんのライフスタイルに合わせて液交換の時間を設定することができます。
CAPDのメリットは、特別な機械を必要とせず、場所を選ばずに液交換ができるため、旅行や外出が多い方でも比較的自由に生活を送れる点です。
しかし、毎日決まった時間に液交換を行う必要があるため、自己管理能力が求められます。
APD(自動腹膜透析)は、夜間、患者さんが寝ている間に「自動腹膜灌流装置」と呼ばれる機械が自動的に液交換を行う方法です。
患者さんは就寝前にカテーテルを機械に接続し、朝起きたら接続を解除します。
機械が自動で透析液の注入と排出を繰り返してくれるため、日中の活動時間を自由に過ごすことができます。
APDのメリットは、日中の液交換の負担が軽減されること、夜間に集中して透析を行うことで十分な透析量が得られることなどが挙げられます。
特に、仕事をしている方や学校に通っている方など、日中の活動が多い方にとって有効な選択肢となります。
ただし、機械の設置スペースが必要であること、停電時の対応などを考慮する必要があります。
どちらの方法を選択するかは、患者さんの生活習慣、身体の状態、そして医師との相談によって決定されます。
両者を併用する「ハイブリッド透析」という方法もあります。
カテーテル管理
腹膜透析を安全に継続するためには、腹部に埋め込まれたカテーテルの適切な管理が不可欠です。
カテーテルは、体外と腹腔内をつなぐ唯一の経路であり、ここから細菌が侵入すると腹膜炎などの重篤な感染症を引き起こす可能性があります。
そのため、カテーテル挿入部(出口部)の清潔保持と、カテーテル自体の保護が非常に重要になります。
カテーテル出口部のケアは、毎日行う必要があります。
シャワーや入浴後、あるいは汚れたと感じた際には、医師や看護師から指導された方法に従って、石鹸と水で優しく洗い、清潔なガーゼなどで水分を拭き取ります。
その後、消毒液を塗布し、清潔なドレッシング材で覆います。
この際、カテーテル出口部に発赤、腫れ、痛み、膿などの異常がないか注意深く観察し、少しでも異常を感じたらすぐに医療機関に連絡することが大切です。
また、カテーテルを引っ張ったり、ねじったりしないように注意することも重要です。
カテーテルが引っ張られると、出口部が傷ついたり、カテーテルが体内で移動したりする可能性があります。
衣服の着脱時や、寝返りを打つ際など、日常生活の様々な場面でカテーテルに負担がかからないよう、意識的に注意を払う必要があります。カテーテルを固定するための専用のベルトや下着を使用することも有効です。
カテーテル管理は、腹膜透析を安全に長く続けるための基本中の基本です。
患者さん自身が正しい知識を持ち、日々のケアを丁寧に行うことで、感染症のリスクを最小限に抑え、安心して透析治療を継続することができます。
医療スタッフは、カテーテル管理に関する指導やサポートを継続的に行いますので、不安なことや疑問点があれば、遠慮なく相談することが推奨されます。
透析患者の日常生活

人工透析は、腎臓の機能を代替する治療であるため、患者さんの日常生活に大きな影響を与えます。
特に、食事や水分摂取、運動、そして仕事との両立など、これまで当たり前だった生活習慣を見直す必要が出てきます。
しかし、適切な知識と工夫があれば、透析治療を受けながらも、これまでと変わらない質の高い生活を送ることが可能です。ここでは、透析患者さんが日常生活を送る上で特に重要となるポイントについて解説します。
食事管理の重要性
透析患者さんにとって、食事管理は治療効果を最大限に引き出し、合併症を予防するために非常に重要な要素です。
腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物や電解質のバランスを保つことが難しくなるため、食事から摂取する栄養素を適切にコントロールする必要があります。
特に注意すべきは、タンパク質、塩分、カリウム、リン、そしてエネルギーの摂取量です。
タンパク質
透析治療によって体内のタンパク質が失われるため、適切な量のタンパク質を摂取して栄養状態を保つことが重要です。
しかし、過剰なタンパク質摂取は老廃物の増加につながるため、医師や管理栄養士の指導のもと、個々の状態に合わせた量を摂取することが求められます。
塩分
塩分の過剰摂取は、体内の水分貯留を促進し、むくみや高血圧の原因となります。
透析患者さんは、塩分摂取量を厳しく制限する必要があります。
加工食品や外食には多くの塩分が含まれているため、自炊を心がけ、だしや香辛料を活用して薄味に慣れる工夫が大切です。
カリウム
腎臓の機能が低下すると、カリウムの排泄が困難になり、体内に蓄積しやすくなります。
高カリウム血症は、不整脈などの心臓のトラブルを引き起こす可能性があるため、カリウムを多く含む食品(生野菜、果物、芋類など)の摂取には注意が必要です。
調理法を工夫したり、カリウムの少ない食品を選んだりすることが推奨されます。
リン
リンも腎臓で排泄されるため、腎機能が低下すると体内に蓄積しやすくなります。
高リン血症は、骨の病気や動脈硬化の原因となるため、リンを多く含む食品(乳製品、加工食品、豆類など)の摂取を控える必要があります。
リン吸着剤を服用して、食事から摂取したリンの吸収を抑えることもあります。
エネルギー
食事制限によってエネルギー不足にならないよう、適切なエネルギー量を摂取することも重要です。
炭水化物や脂質から十分なエネルギーを摂ることで、タンパク質の分解を防ぎ、栄養状態を良好に保つことができます。
食事管理は、患者さん一人ひとりの状態や透析の種類によって異なります。
必ず医師や管理栄養士の指導を受け、個別の食事計画を立てることが大切です。
栄養指導を積極的に活用し、無理なく継続できる食事管理を目指しましょう。
水分管理のポイント
腎臓の機能が低下すると、尿として水分を排泄する能力が低下するため、体内に余分な水分が蓄積しやすくなります。
水分が過剰に蓄積すると、むくみ、高血圧、心臓への負担増大、肺水腫などの原因となり、透析中の血圧低下や足のつりなどの症状を引き起こすこともあります。
そのため、透析患者さんにとって水分管理は、食事管理と同様に非常に重要な自己管理の一つです。
水分摂取量の目安は、一般的に「前回の透析終了時から今回の透析開始時までの体重増加量を、ドライウェイト(透析後の目標体重)の3〜5%以内」に抑えることが推奨されています。
具体的な水分摂取量は、尿量や透析の種類、個々の状態によって異なりますので、医師や看護師から指示された量を厳守することが大切です。
水分は、飲み物だけでなく、食事に含まれる水分(汁物、果物、ゼリーなど)や、点滴、薬などからも摂取されるため、これらすべてを考慮に入れる必要があります。
水分制限を乗り切るための工夫としては、以下のような点が挙げられます。
喉の渇きを和らげる工夫
氷を口に含む、冷たいお茶や水でうがいをする、シュガーレスの飴やガムを噛む、レモン水や炭酸水で気分転換をする、口の中を清潔に保つなどが有効です。
食事からの水分を意識する
汁物の量を減らす、水分量の多い果物や野菜の摂取量を調整する、ゼリーやプリンなどのデザートを控えるなど、食事に含まれる水分を意識的にコントロールしましょう。
体重を毎日測定する
毎朝同じ時間に体重を測定し、体重の増減を記録することで、水分貯留の状態を把握し、水分摂取量の目安とすることができます。
水分管理は、慣れるまでは大変に感じるかもしれませんが、体調を良好に保ち、透析治療を安全に継続するために不可欠なことです。医療スタッフと密に連携を取りながら、ご自身に合った水分管理の方法を見つけていきましょう。
運動と活動
透析患者さんにとって、適度な運動と活動は、身体機能の維持・向上、精神的な健康の維持、そして生活の質の向上に大きく貢献します。
透析治療を受けているからといって、運動を諦める必要はありません。
むしろ、適切な運動は、筋力低下の予防、心肺機能の改善、骨密度の維持、血圧の安定、そしてストレス軽減に役立ちます。
運動の種類としては、ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動や、軽い筋力トレーニングが推奨されます。
透析中にベッドの上でできる簡単な運動や、透析後に無理のない範囲で行える運動もあります。
ただし、シャントのある腕には負担をかけないように注意が必要です。
また、体調が悪い時や、透析直後で疲労感が強い時は無理をせず、休息を優先しましょう。
運動を始める前には、必ず医師や理学療法士に相談し、ご自身の身体の状態や合併症の有無に応じた適切な運動の種類や強度、時間を指導してもらうことが重要です。
無理のない範囲で、楽しみながら継続できる運動を見つけることが、長続きの秘訣です。
日常生活の中で、意識的に体を動かす機会を増やすことも大切です。
例えば、エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど、小さなことから始めてみましょう。
仕事との両立
透析治療を受けながら仕事を続けることは、経済的な自立だけでなく、社会とのつながりを保ち、精神的な充実感を得る上でも非常に重要です。
血液透析の場合、週に数回の通院が必要となるため、仕事との両立には工夫が必要となります。
腹膜透析の場合は、自宅で治療が行えるため、比較的仕事との両立がしやすいと言えます。
仕事との両立を成功させるためには、まず職場への理解と協力が不可欠です。
病状や治療内容について、上司や同僚に適切に説明し、必要に応じて勤務時間や業務内容の調整を相談してみましょう。
フレックスタイム制や在宅勤務制度の活用、短時間勤務への変更なども検討できるかもしれません。
また、透析施設によっては、夜間透析やオーバーナイト透析など、仕事と両立しやすい透析時間を提供しているところもあります。
腹膜透析の場合は、日中の液交換の時間を調整したり、APD(自動腹膜透析)を利用して夜間に透析を行ったりすることで、仕事への影響を最小限に抑えることができます。
ただし、カテーテル管理や体調管理など、自己管理の徹底が求められます。
仕事と治療の両立は、決して一人で抱え込む必要はありません。
医療ソーシャルワーカーや産業医、ハローワークの専門相談員など、様々なサポート機関がありますので、積極的に相談し、利用できる制度や支援を活用することが推奨されます。
また、同じ透析患者さんの体験談を聞くことも、参考になるでしょう。
精神的なサポートと向き合い方

人工透析という治療は、身体的な負担だけでなく、精神的な負担も大きいものです。
慢性的な病気と向き合い、生活習慣の変化に適応していく中で、不安、抑うつ、孤独感、喪失感など、様々な感情を抱くことは自然なことです。
しかし、これらの感情を一人で抱え込まず、適切な精神的なサポートを得て、病気と前向きに向き合っていくことが、生活の質を維持し、向上させる上で非常に重要です。
まず、自分の感情を認識し、受け入れることが第一歩です。
悲しい、辛い、不安だと感じることは決して弱いことではありません。
これらの感情を否定せず、素直に受け止めることで、次のステップに進むことができます。
そして、信頼できる家族や友人、医療スタッフに自分の気持ちを話してみましょう。
話すことで、気持ちが整理されたり、共感を得られたり、具体的なアドバイスをもらえたりすることがあります。
一人で抱え込まず、周囲に頼ることは、精神的な負担を軽減する上で非常に有効です。
また、同じ透析患者さんと交流することも、精神的なサポートを得る上で大きな助けとなります。
患者会やサポートグループに参加することで、同じような経験をしている人々と出会い、悩みを共有したり、情報交換をしたりすることができます。
互いに支え合い、励まし合うことで、孤独感が和らぎ、前向きな気持ちになれるでしょう。
先輩患者さんの体験談は、治療を継続していく上でのヒントや勇気を与えてくれることもあります。
医療機関には、医師や看護師だけでなく、臨床心理士や精神保健福祉士といった専門家が在籍している場合があります。
精神的な不調が続く場合や、日常生活に支障をきたすほどの精神的な負担を感じる場合は、これらの専門家に相談してみることを検討しましょう。
専門家は、患者さんの心の状態を理解し、適切なカウンセリングやサポートを提供してくれます。
必要に応じて、薬物療法を検討することもあります。
趣味や楽しみを見つけることも、精神的な健康を保つ上で大切です。
透析治療を受けながらでも楽しめる活動を見つけ、積極的に取り組むことで、気分転換になり、生活に彩りを与えることができます。
また、目標を設定し、それに向かって努力することも、生きがいや充実感につながります。
たとえば、旅行に行く、新しい趣味を始める、ボランティア活動に参加するなど、小さな目標から始めてみましょう。
人工透析は長期にわたる治療ですが、精神的なサポートを積極的に活用し、病気と上手に付き合っていくことで、これまでと変わらない、あるいはそれ以上の充実した生活を送ることが可能です。
自分一人で抱え込まず、周囲のサポートを積極的に活用し、前向きな気持ちで病気と向き合っていくことが推奨されます。
人工透析に伴う合併症と対策

人工透析は、腎臓の機能を代替する重要な治療法ですが、長期にわたる治療であるため、様々な合併症を引き起こす可能性があります。
これらの合併症は、患者さんの生活の質を低下させたり、生命予後に影響を与えたりすることがあります。
合併症の種類や症状、そしてその対策について理解することは、透析治療を安全に継続し、より良い生活を送る上で非常に重要です。
ここでは、人工透析に伴う主な合併症とその対策について解説します。
短期的な合併症
透析中に比較的短期間で現れる合併症には、以下のようなものがあります。
低血圧
透析中に体内の余分な水分が急速に除去されることで、血圧が急激に低下することがあります。
めまい、吐き気、冷や汗、意識の混濁などの症状が現れることがあります。特に、透析前の水分貯留が多い場合や、心臓の機能が低下している患者さんに起こりやすいです。
対策としては、水分・塩分管理の徹底、透析量の調整、昇圧剤の使用などがあります。
不均衡症候群
透析導入時や、透析効率が急激に上がった際に起こりやすい合併症です。血液中の老廃物が急速に除去される一方で、脳内の老廃物の除去が遅れることで、脳内の浸透圧のバランスが崩れて脳がむくむことで起こります。
頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、けいれんなどの症状が現れることがあります。
対策としては、透析導入時に透析時間を短くしたり、透析量を少なくしたりして、徐々に体を慣らしていくことが重要です。
筋肉のけいれん(こむら返り)
透析中に体内の水分や電解質のバランスが変化することで、足や手の筋肉がけいれんすることがあります。
特に、水分除去量が多い場合や、カリウム、カルシウムなどの電解質異常がある場合に起こりやすいです。
対策としては、透析中のマッサージ、温罨法、電解質補正、透析量の調整などがあります。
吐き気・嘔吐
低血圧や不均衡症候群、あるいは透析液の組成など、様々な原因で吐き気や嘔吐が起こることがあります。対策としては、原因に応じた対処が必要です。
これらの短期的な合併症は、透析の条件を調整したり、適切な処置を行うことで改善することがほとんどです。
症状が現れた場合は、我慢せずにすぐに医療スタッフに伝えることが大切です。
長期的な合併症
人工透析を長期間継続することで、以下のような合併症が現れることがあります。
心血管系合併症
透析患者さんの死因の多くを占めるのが心血管系合併症です。
高血圧、動脈硬化、心肥大、心不全、不整脈などが挙げられます。
腎不全による水分過剰、電解質異常、貧血、炎症などが原因となります。
対策としては、適切な水分・塩分管理、血圧コントロール、貧血の改善、リン・カルシウム管理、そして定期的な心臓の検査が重要です。
骨・ミネラル代謝異常(腎性骨病)
腎臓の機能が低下すると、リンやカルシウムのバランスが崩れ、骨がもろくなったり、血管や軟部組織にカルシウムが沈着したりすることがあります。対策としては、リン吸着剤の服用、活性型ビタミンD製剤の使用、副甲状腺機能亢進症の治療などがあります。
貧血(腎性貧血)
腎臓から分泌される赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)が不足することで起こる貧血です。倦怠感、息切れ、動悸などの症状が現れます。対策としては、エリスロポエチン製剤の注射や鉄剤の補充などが行われます。
感染症
透析患者さんは免疫機能が低下しているため、感染症にかかりやすい傾向があります。特に、血液透析ではシャント感染、腹膜透析では腹膜炎が問題となります。対策としては、手洗いの徹底、カテーテル出口部の清潔保持、予防接種などが重要です。
透析アミロイドーシス
長期透析によって体内に蓄積するβ2-ミクログロブリンというタンパク質が、関節や骨、神経などに沈着することで起こる合併症です。関節の痛み、手根管症候群(手のしびれや痛み)などが現れます。対策としては、高性能なダイアライザーの使用や、血液濾過透析(HDF)などの治療法が有効とされています。
皮膚のかゆみ
老廃物の蓄積やリン・カルシウムの異常などが原因で、全身にかゆみが生じることがあります。対策としては、保湿剤の使用、かゆみ止めの薬、透析効率の改善などがあります。
合併症の予防と早期発見
人工透析に伴う合併症は多岐にわたりますが、その多くは適切な管理と早期発見によって予防したり、進行を遅らせたりすることが可能です。
最も重要なのは、患者さん自身が病気と治療について正しく理解し、日々の自己管理を徹底することです。
自己管理の徹底
食事療法、水分管理、服薬の遵守は、合併症予防の基本です。医師や管理栄養士、薬剤師の指導を厳守し、日々の生活の中で実践することが重要です。特に、塩分、カリウム、リンの摂取制限は、心血管系合併症や骨・ミネラル代謝異常の予防に直結します。
定期的な検査と診察
透析患者さんは、定期的に血液検査や尿検査、画像検査などを受け、体の状態を詳細にチェックする必要があります。これらの検査結果に基づいて、医師は透析条件の調整や薬の処方を行います。自覚症状がなくても、定期的な診察を欠かさないことが早期発見につながります。
シャント/カテーテルの管理
血液透析のシャントや腹膜透析のカテーテルは、感染や閉塞のリスクがあるため、日々の観察と清潔保持が不可欠です。異常を感じたら、すぐに医療機関に連絡しましょう。
体調の変化に注意
普段と違う体調の変化(むくみ、息切れ、倦怠感、痛みなど)があった場合は、軽視せずに医療スタッフに相談することが大切です。早期に異常を発見し、対処することで、合併症の悪化を防ぐことができます。
禁煙・節酒
喫煙や過度な飲酒は、動脈硬化を促進し、心血管系合併症のリスクを高めます。健康的な生活習慣を心がけることが、合併症予防につながります。
適度な運動
医師の許可のもと、無理のない範囲で適度な運動を継続することは、筋力維持、心肺機能向上、血圧安定に役立ち、合併症予防に貢献します。
人工透析は、患者さんの生命を維持し、生活の質を向上させるための治療です。
合併症のリスクを理解し、医療スタッフと協力しながら、積極的に予防と早期発見に努めることが、透析治療を長く安全に継続していくための鍵となります。
人工透析の費用と医療費助成制度

人工透析は、長期にわたる治療であり、その医療費は高額になる傾向があります。
しかし、日本では、透析患者さんが経済的な負担を軽減し、安心して治療を受けられるように、様々な医療費助成制度が整備されています。
これらの制度を理解し、適切に活用することは、患者さんやご家族にとって非常に重要です。
ここでは、透析治療にかかる費用と、利用できる主な医療費助成制度について解説します。
透析治療にかかる費用
人工透析の医療費は、治療の種類(血液透析か腹膜透析か)、透析の頻度、使用する薬剤、合併症の治療などによって異なりますが、一般的に月額で数十万円に上ると言われています。
例えば、外来血液透析の場合、1ヶ月あたりの医療費は約40万円程度、腹膜透析(CAPD)の場合も30万円から50万円程度が必要とされています。
これは、透析装置やダイアライザー、透析液、薬剤、医療スタッフの人件費など、多くのコストがかかるためです。
この金額を全額自己負担すると、患者さんやご家族にとって大きな経済的負担となります。
しかし、日本の医療保険制度と、透析患者さんを対象とした医療費助成制度があるため、実際に患者さんが窓口で支払う金額は大幅に軽減されます。
高額療養費制度
高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が、ひと月(月の初めから終わりまで)で自己負担限度額を超えた場合に、その超えた額が払い戻される制度です。
自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。
人工透析のように継続的に高額な医療費がかかる治療を受けている場合、この制度は非常に有効です。
特に、慢性腎不全で人工透析を受けている患者さんの場合、特定疾病療養受療証を医療機関の窓口に提示することで、自己負担限度額が月額1万円(上位所得者は2万円)に軽減されます。
これにより、どれだけ医療費がかかっても、ひと月の自己負担額は原則として1万円(または2万円)に抑えられます。
この制度は、医療保険に加入している全ての人が対象となります。
特定疾病療養受療証
特定疾病療養受療証は、厚生労働大臣が指定する特定疾病(慢性腎不全、血友病、血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症)の治療を受けている患者さんが、医療費の自己負担額を軽減するための制度です。
慢性腎不全で人工透析を受けている患者さんは、この制度の対象となります。
この受療証を医療機関の窓口に提示することで、同一医療機関での特定疾病に関する医療費の自己負担額が、月額1万円(70歳未満で所得が一定額以上の場合は2万円)に軽減されます。
この制度を利用するためには、加入している医療保険者(健康保険組合、協会けんぽ、市町村など)に申請し、特定疾病療養受療証の交付を受ける必要があります。
申請には、医師の意見書などが必要となる場合がありますので、詳細は医療機関の医療相談室や加入している医療保険者に確認しましょう。
その他の医療費助成
高額療養費制度や特定疾病療養受療証の他にも、透析患者さんが利用できる医療費助成制度があります。
これらは、お住まいの自治体や、患者さんの状況によって利用できるものが異なります。
重度心身障害者医療費助成制度
身体障害者手帳1級または2級(腎臓機能障害)をお持ちの場合、この制度の対象となることがあります。医療費の自己負担分が助成される制度で、自治体によって対象範囲や助成内容が異なります。
自立支援医療(更生医療)
身体障害者手帳をお持ちの方が、その障害を除去・軽減するための医療を受ける場合に、医療費の自己負担分が助成される制度です。
人工透析導入のためのシャント手術や、透析導入後の維持透析などが対象となる場合があります。
所得に応じて自己負担上限額が設定されます。
生活保護制度
経済的に困窮している場合、生活保護制度を利用することで、医療費を含む生活全般の支援を受けることができます。医療扶助として、医療費が全額支給されます。
これらの制度は、それぞれ申請手続きや条件が異なります。
利用を検討される場合は、医療機関の医療相談室、お住まいの市区町村の福祉担当窓口、または加入している医療保険者に相談し、ご自身の状況に合った制度を詳しく確認することが重要です。
適切な制度を活用することで、経済的な不安を軽減し、治療に専念できる環境を整えることができます。
人工透析に関するよくある質問

人工透析という治療は、患者さんやご家族にとって、多くの疑問や不安を伴うものです。ここでは、人工透析に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。これらの情報が、皆さんの疑問を解消し、より安心して治療に臨むための一助となれば幸いです。
透析導入のタイミング
Q: いつから人工透析を始める必要がありますか?
A: 人工透析の導入時期は、患者さんの腎機能の状態、自覚症状、合併症の有無などを総合的に判断して決定されます。
一般的には、腎機能の指標であるGFR(糸球体ろ過量)が10ml/分/1.73m²以下になり、尿毒症の症状(食欲不振、吐き気、倦怠感、むくみ、息切れなど)が現れた場合や、薬物療法ではコントロールできない高血圧や心不全などの合併症がある場合に、透析導入が検討されます。
しかし、GFRの数値だけで一律に決まるものではなく、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、医師と十分に話し合い、納得した上で決定することが非常に重要です。
透析導入が遅れると、命に関わる重篤な状態になるリスクがある一方で、早すぎると患者さんの生活の質を不必要に低下させる可能性もあります。
定期的な診察と検査を受け、医師と密に連携を取りながら、最適なタイミングを見極めることが大切です。
透析治療の選択肢
Q: 血液透析と腹膜透析、どちらを選べば良いですか?
A: 血液透析と腹膜透析は、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットを持っています。
どちらの治療法が最適かは、患者さんの年齢、身体の状態、生活習慣、仕事の状況、ご家族のサポート体制、そして患者さん自身の希望など、様々な要因を考慮して決定されます。
例えば、通院の負担を減らしたい、自宅で治療を行いたい、仕事との両立を重視したいという方には腹膜透析が適しているかもしれません。
一方、自己管理に不安がある、医療スタッフの管理下で治療を受けたいという方には血液透析が適しているかもしれません。
医師は、これらの要素を総合的に評価し、患者さんに最適な治療法を提案してくれます。
また、両方の治療法について十分に説明を受け、疑問点を解消した上で、ご自身が納得できる選択をすることが重要です。
必要であれば、複数の医療機関の意見を聞くセカンドオピニオンも検討してみましょう。
透析治療の期間
Q: 人工透析は一生続けなければならないのでしょうか?
A: 人工透析は、一度開始すると、原則として生涯にわたって継続する必要がある治療です。
これは、腎臓の機能が一度失われると、自然に回復することが非常に稀であるためです。
しかし、腎移植を受けることができれば、透析治療から解放され、腎臓の機能を回復させることができます。
腎移植は、透析患者さんにとって最も理想的な治療法の一つですが、ドナーの問題や手術のリスク、免疫抑制剤の服用など、考慮すべき点も多くあります。
透析治療を継続しながら、腎移植の可能性についても医師と相談し、情報収集を行うことが推奨されます。
腎移植という選択肢
Q: 腎移植について詳しく教えてください。
A: 腎移植は、機能しなくなった患者さん自身の腎臓の代わりに、健康な腎臓を移植する治療法です。
腎移植には、大きく分けて「献腎移植」と「生体腎移植」の2種類があります。
献腎移植は、脳死または心停止した方から腎臓を提供していただく方法です。
提供される腎臓は限られているため、移植を希望する患者さんは日本臓器移植ネットワークに登録し、順番を待つことになります。
待機期間は非常に長く、数年から十数年に及ぶことも珍しくありません。
生体腎移植は、健康な親族(配偶者、親、子、兄弟姉妹など)から腎臓を一つ提供していただく方法です。
ドナーとレシピエント(患者さん)の血液型や組織適合性などの条件が合えば、比較的早期に移植手術を受けることが可能です。
生体腎移植は、献腎移植に比べて待機期間が短く、手術の日程を調整しやすいというメリットがあります。
腎移植の最大のメリットは、透析治療から解放され、腎臓の機能を回復できることです。
これにより、食事や水分制限が緩和され、生活の質が大幅に向上することが期待できます。
しかし、手術のリスク、拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤の生涯にわたる服用、感染症のリスクなど、考慮すべき点も存在します。
腎移植は、透析患者さんにとって非常に有効な治療選択肢の一つであり、医師や移植コーディネーターと十分に相談し、ご自身にとって最善の選択をすることが重要です。
透析患者・家族 知っておきたい知識

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